夏をピークにもってこない 〜実力の余白が秋の伸びをつくる〜

 

小学校受験の準備をしていると、

「夏こそ仕上げの時期!」という声をよく耳にします。

もちろん、夏休みはまとまった時間が取れる貴重な期間です。

でも――夏に“完成形”に近づけすぎてしまうのは、少し危険です。

夏に完成すると、秋にピークアウトする。

お子さまのピークは長く続きません。

夏に力を出し切ってしまうと、秋には疲れが出て、伸びが止まってしまいます。

さらに怖いのは、完成形に近づいた瞬間に気持ちが緩むこと。

「もうできる」という安心感から、無意識にブレーキがかかり、集中の質が落ちてしまうのです。

そしてその間に、夏に危機感を持ったご家庭が、秋以降で一気に追い上げてきます。

結果、夏に完成形に近かったはずのお子さんが、秋には抜かれてしまう――これは受験現場で何度も見る光景です。

むしろ、「あと少しで完成」という状態で夏を終える方が、秋の伸びしろが大きいのです。

実力の“余白”を残す

秋は本番直前の追い込み期。

この時期に伸びるためには、夏の間に「土台」をしっかり作りつつ、わざと余白を残すことがポイントです。

•苦手をゼロにせず、秋に伸ばす分野を残しておく

•暗記だけでなく、考える力を育てる練習を増やす

•得意分野も“もう一段階上”を秋に仕上げる

この“余白”が、秋にお子さんの力をぐっと引き上げます。

夏は助走、本番は秋

夏はピークではなく、秋の加速のための助走期間です。

焦らず、コツコツと積み重ねることで、秋に一番調子が良い自分を作ることができます。

実力を育てるには、“余白”という贅沢を計画的に残すことが大切です。