小学校受験対策を始めるときに、何から手をつければ良いか分からないと、SNSやインターネットの情報に影響され、焦りで空回りしてしまいますよね。
小学校受験では、やみくもに対策するよりも「今何をすれば良いか」を把握し、順番に進めていくと、子どもの勉強の負担が少なくなります。
そこで、この記事では、小学校受験について時期、科目、性格別など、さまざまな角度から対策を解説します。
小学校受験の対策内容は、時系列順に変化する
小学校受験に必要な対策を、時系列で次の3つの段階にまとめます。
- 年少後半(9〜翌3月):生活習慣や遊び学習で土台づくり
- 年中前半〜後半(4〜12月):ペーパー基礎力と行動観察の強化
- 年長(4〜10月):本番を意識した、志望校別の対策
以下から、それぞれの見ていきましょう。
年少後半(9〜3月):生活習慣や遊び学習で土台づくり
子どもが年少のタイミングでは、子どもの生活習慣や、遊びを取り入れた学習を通じて、小学校受験を乗り切るための土台づくりをします。
このタイミングで、子どもがきちんとした生活習慣や、遊びながら学ぶ方法を身につけておくと、長期的にみると、受験に有利になるからです。
たとえば、お外で遊びながら花の数・名前を理解する、朝決まった時間に起きる、おもちゃの片付けを自分でできるようになる、といったことを目標にしましょう。
年中(4〜12月):ペーパー基礎力と行動観察の強化
子どもが年中になると、少しずつ受験を意識した学習が必要になってきます。
受験対策に時間がかかるペーパー試験や、日常生活に取り入れやすい行動観察の対策などを中心に強化していきましょう。
行動観察では「指示を聞いて動けるか」「周囲と協力できるか」が見られるため、おうちで親子でルールを決めたゲームをしたり、公園で初対面の子と遊ばせる機会を増やすなど、日常の中で社会性を育む工夫が重要です。
また、年中の間に単元を終えられるようにすると年長時には思考力を鍛える問題を多く取り扱えるようになります。
また、模試を受けることによって、お子さまの苦手分野の発見や、試験に慣れるなどのメリットがあるので、受験しましょう。
年長(4〜10月):本番を意識した、志望校別の対策
年長の後半は、本番が近くなっているため、本番を意識した志望校別の対策が必要です。
志望校が求める「子どもの像」を学校説明会やホームページで把握し、求められている内容を盛り込んだ願書を作成します。
たとえば、「協調性を重視するA小学校」「自己表現を大切にするB学園」など、各校で特色が異なります。
過去の入試レポートを参考にしながら志望校の出題傾向や校風を具体的に分析しておきましょう。
また、最後の仕上げとして、お子さまに模試を受験してもらい、志望校の出題傾向や苦手科目、試験の流れなどを再確認します。
また、小学校受験では、子どもだけでなく「親にも求められる像」があるので、面接で浮かないTPOに合った清潔感のある服装や、話し方ができているかなどを確認しておきましょう。
【出題形式別】小学校受験の対策方法
小学校受験の出題形式は、大きく分けて、次の5つに分類されます。
- ペーパー試験
- 行動観察
- 制作
- 運動
- 面接
以下からは、それぞれの出題形式別の対策法を見ていきましょう。
ペーパー試験
ペーパー試験は学力を測る試験で、図形、数、言葉、記憶力、常識、知識など、幅広い分野から出題されます。
たとえば、「同じ数を選ぶ問題」「数の操作」「お話を聞いて正しい絵に丸をつける問題」などが代表的です。
ご家庭でもできる対策法としては、子どものおやつの時間に「ここにあるクッキーを3枚食べたら残りは何枚になるかな?」「3人でクッキーを分けたらひとり何枚もらえるかな?」と数のクイズをしたり、絵本の感想を尋ねたりする、というものが挙げられます。
実生活の中で数の概念を学んでいかれると効果的でしょう。
行動観察
行動観察では、子どもが集団生活の中でどのように行動するかが見られます。
たとえば、「みんなで1つの作品を作る」「知らない子と協力してゲームをする」「1人ずつ発表する」「自由遊び」といった課題が多く出されます。
具体的な評価対象は、大人や先生の指示を正しく聞いて行動できるか、お友達と協力して課題に取り組めるか、といった点です。
対策法としては、公園で初めて会うお友達と遊ぶ、お店の店員さんに元気に挨拶する、などがあります。
普段からお友達と遊ぶときに「ルールを守る」「相手の話を聞く」という姿勢を意識させるとよいでしょう。
その際には、親は心配だからとすぐに口を出すのではなく、できるだけ子どもを見守る姿勢を大切にしましょう。
制作
制作では、折り紙、はさみ、のりなどを使った工作が課題になります。
制限時間内に「丁寧に最後までやりきること」「片付けまできちんとできること」「手順を守って作業すること」が大切です。
作品の完成度よりも「姿勢・取り組み方」が重視されることを意識しておきましょう。
対策法としては、子どもに折り紙を折ってもらい、「どんな工夫をしたの?」「なんで水色の紙を選んだの?」などと聞き、工夫した点を褒める時間を取る、といったことが挙げられます。
制作の試験を受けるのは、親ではなく、子ども自身です。
そのため、親の介入は最低限に留めるべき。
完成形を大人が決めず、子どもならではのアイディアを尊重して、自由に作品を作ってもらいましょう。
運動
運動試験では、体の動かし方や指示を、正しく理解できるかが評価対象となります。
具体的な課題としては、ケンケンパやスキップ、方向転換として「右にジャンプ」などの指示に素早く反応できるか、など。
対策としては、子どもとのお散歩中に「次の信号までスキップで行こう」と声かけたり「公園で縄跳びしよう」と提案する、など。
運動の得意・不得意ではなく、「話を聞いて動けるか」「途中であきらめずにやりきれるか」といった態度面が評価の中心です。
多少苦手でも、笑顔で取り組む姿勢を大切にしましょう。
楽しみながら運動できる習慣を身につける工夫などを、考えてみてください。
面接
面接では子どもだけでなく、親の服装・姿勢・敬語の使い方など、立ち振る舞いもみられています。
子ども側の対策としては、「自分の名前を言う」「年齢を答える」「自宅の住所や電話番号」「好きなことについて話す」など。
基本的な受け答えができるような練習をすべきです。
また、「なぜ?どうして?」といった質問を深掘りされても自分の考えを述べられるよように日頃からお子さまの考えをしっかりも聞く姿勢を大切にされてください。
親への質問は「お子さんの長所・短所は?」「家庭で大切にしていることは?」「志望理由は?」など。
事前に模擬面接で練習しておくと安心です。
親の対策は、自分たちの家庭が、学校の教育方針や理念にも合っていることを、面接官に対して自然に伝えられるよう練習することなどです。
【性格別】小学校受験の対策方法
次のように子どもの性格はさまざまであり、子どもの性格に合わせ、小学校受験の対策方法は変わります。
- 協調性が高く、周囲に気を配れる性格の子
- 慎重で、コツコツと真面目に努力ができる性格の子
- 身体を動かすのが好き、活発な性格の子
- 内向的で自己主張が苦手な性格の子
※ここで紹介する性格パターンは一例です。お子さまは一つのタイプに完全に当てはまるわけではなく、状況によって変わることもあります。大切なのは「どのような関わり方がその子に合うか」を日々観察しながら調整する姿勢です。 |
以下からは、子どもの性格ごとの受験対策方法をご紹介します。
協調性が高く、周囲に気を配れる性格の子
協調性がある子は、お友達とのコミュニケーションが上手で、周りの状況を見ながら行動できるのが特徴です。
行動観察の対策として、グループの中で意見をまとめたり、積極的に他の子のお手伝いをしたりする練習をすることで、さらに強みを伸ばせます。
一方で、周囲に気を配るあまり、「自分自身はどう思うのか」を言葉にするのが苦手なことも。
苦手克服のためには「他の子の意見を尊重しつつも、自分の意見も言う」といった練習を積み重ねておくと良いでしょう。
慎重で、コツコツと真面目に努力ができる性格の子
慎重で真面目な子は、時間をかけてコツコツと課題に取り組めます。
ペーパー試験では、学習において繰り返し問題を解き、自分のペースで理解を深めていけるので、高い点数を狙えます。
コツコツタイプの子は、頑張りすぎて自分を追い込んでしまうことが挙げられます。
そうした場合は、問題にうまく取り組めなかったときに叱るのではなく、うまくいった点に目を向けて積極的に褒めてあげましょう。
たとえば、「間違っても諦めずに取り組んでえらいね」「前より早く問題を解けたね」といった「過程を褒める言葉」を意識すると、子どもの自信が積み重なります。
身体を動かすのが好き、活発な性格の子
活発な子は、運動や面接で力を発揮します。
運動試験対策では、大人の指示の通りに体を動かす練習を。
面接対策では、大きな声で挨拶し、自分の意見をはっきり言う練習が効果的です。
一方、集中して何かに取り組むのが苦手な場合は、ペーパー試験対策として、体を動かしながらの学びや、短期集中での学習が良いでしょう。
内向的で自己主張が苦手な性格の子
内向的な子は、静かな環境では集中力を発揮できる一方、大勢の中では自分を出すのが難しい傾向があります。
行動観察や面接対策としては、少人数の場で自己紹介の練習を重ねたり、家庭内で「自分の意見を言う場」を意識的に作ってあげることが有効です。
「緊張しても最後までやり遂げる姿勢」を先生に伝えられるよう、成功体験を積み重ねることが大切です。
小学校受験対策でよくある質問
小学校受験対策でよくある質問は、次の通りです。
- 小学校受験ってそもそも何?どうして受験があるの?
- 願書ってどこまで重要?何を書けばいい?
- 模試って受けるべき?受けたらどう活かす?
- 本番直前にはどんなことをすべき?
- 合格した家庭はどんな工夫をしていたの?
- 頑張っているのに空回りしてしまう家庭には、どんな特徴がある?
- 兄弟・姉妹がいるとき、どうやって受験に集中すればいい?
- 親のどちらかが非協力的でも受験は成り立つ?
- SNSやママ友の噂が気になる。正しい情報ってどう見極める?
以下から、順番に回答していきます。
小学校受験ってそもそも何?どうして受験があるの?
小学校受験とは、公立の小学校ではなく、私立や国立、大学付属などの小学校に入学するための試験です。
公立小学校との違いとして、私立や国立の小学校は、それぞれ独自の教育方針やカリキュラムを持ち、英語教育や情操教育に力を入れている学校もあります。
受験を選ぶ家庭の多くは、子どもの個性や教育環境を重視しており、「より丁寧な教育を受けさせたい」「一貫校で自分の好きなことを見つけて欲しい」といった理由で受験を検討されているご家庭も多いのではないでしょうか。
学校側の動機としてはたとえば、私立の小学校であれば、学校の教育理念に合った家庭や子どもを選ぶために受験を実施。
国立大学付属の小学校であれば、教育方法の検証や教員養成の実践の場づくりの一環として子どもを選ぶために、抽選や受験を行うのです。
それぞれ特徴が異なるため、家庭の教育方針や子どもの個性に合った学校を選び、受験しましょう。
願書ってどこまで重要?何を書けばいい?
願書は試験の前に、家庭の考えや、子どもの特徴を伝える「最初の面接」のようなもので、入試全体の合否に影響を与える重要な書類です。
願書に書く内容としては、「どうしてこの小学校を選んだのか」「家庭ではどのような考え方を大切にしているのか」など。
ほかにもたとえば、「休日には家族で博物館に行き、子どもの知的好奇心を大切にしています」「兄弟げんかの場面では、まず相手の話を聞くよう促しています」など、家庭での関わり方が学校の理念と合致していることを、エピソードで示すと説得力が増します。
志望校の教育方針や理念と近くなるように、記入しましょう。
なお、学校によっては「願書を重視する」「当日の面接との一貫性を重視する」「願書の書き方で家庭の教育観を見る」といった特徴があります。
過去のお教室からの情報で傾向を確認しておきましょう。
また、願書には家庭の価値観や子どもの様子を記載しますが、家庭の信条や宗教、経済的背景などの「センシティブ情報」を求められる場合もあります。
その場合は過度な表現を避け、志望校の教育理念に沿った自然な言葉で伝えましょう。
なお、願書の取り扱いは各学校の個人情報保護方針に従って運用されることに注意してください。
模試って受けるべき?受けたらどう活かす?
模試は、子どもの今の実力を知るだけでなく、本番の雰囲気に慣れるためにも役立ちます。
模試には、塾が主催する「志望校別模試」や、全国規模で行われる「統一模試」などがあります。
志望校の傾向を反映した模試では、具体的な弱点把握ができるため、併用して受験するのがおすすめです。
偏差値だけにとらわれず、「どの分野が苦手だったか」「集団行動でどう振る舞えたか」を確認し、次に克服する課題の洗い出しに活かしましょう。
また、模試の結果は、志望校のレベルと自分の実力のギャップを知る手がかりにもなります。
点数だけでなく、受験者全体の傾向や平均点を参考にしながら、併願校を検討する際の材料にも活用しましょう。
本番直前にはどんなことをすべき?
試験の1週間前には、試験当日の流れやアクセスの確認をしてください。
また、体調管理にも気を配りましょう。
前日は、忘れ物がないか持ち物を確認し、早めに寝ることで万全の体調で当日を迎えましょう。
ただし、どれだけ準備を整えても、緊張で眠れなかったり体調が万全でなかったりすることもあります。
そんなときは「ここまで親子で頑張ってきたこと」に自信を持つ気持ちで試験に向かうことが、結果以上に大切です。
完璧を求めすぎて、自分や家族を責めてしまわないよう、柔らかい心構えを意識しておきましょう。
当日の朝は、「ママも一緒だから大丈夫だよ」など、子どもが前向きになれるような声かけをして、緊張をほぐしましょう。
合格した家庭はどんな工夫をしていたの?
小学校受験対策は、子どもの「性格や得意・不得意」と「小学校が子どもに求める素質・能力」を一致させる必要があります。
たとえば、マンツーマンで子どもに合わせた授業を作れる家庭教師を利用すれば、効率的に受験対策を進められるでしょう。
わたしたち家庭教師のクラルス(CLARUS)をご利用いただいた家庭の中には、塾のピリッとした雰囲気に馴染めずにいたお子さまでも、家庭教師と一緒に楽しんで勉強し、小学校受験に合格したケースもあります。
このように、小学校受験に合格した家庭は、「子どもの個性に合わせた無理のない学び方」を取り入れる工夫をしています。
頑張っているのに空回りしてしまう家庭には、どんな特徴がある?
お子さまが努力しているのにもかかわらず、結果が出にくい家庭の特徴に、「受験に対する焦りがある」というものがあります。
たとえば、「親が焦って子どもの学習スケジュールを詰め込みすぎて、空回りしてしまう」というケース。
また、受験に対する焦りから、さまざまな塾を転々とする「塾ジプシー」という状態になってしまうことも。
塾を転々としてしまうと、子どもが塾に慣れる前に次の塾に行くことになるので、継続的な学習環境が確保できず、知識の定着や精神的安定を損なう可能性があります。
小学校受験対策には、1年〜1年半程度の準備期間を要することが多いため、子どもの可能性や塾の対策を信じて、結果が出るまで待ちましょう。
兄弟・姉妹がいるとき、どうやって受験に集中すればいい?
受験する子が上の子の場合には、下の子はまだまだ遊びたい盛りの年齢です。
受験する上の子が落ち着いて勉強できる環境を作りましょう。
反対に、下の子が小学校受験をする場合、上の子はすでに小学校に入っています。
その場合には、受験期のナイーブな下の子と、受験が終わっている上の子を比較し ないように気をつけましょう。
親のどちらかが非協力的でも受験は成り立つ?
一方の親が受験に協力的でない場合、無理に巻き込もうとすると、家庭内がギクシャクしてしまいます。
必要な情報だけを共有し、最低限の理解を得ながら受験対策を進めましょう。
SNSやママ友の噂が気になる。正しい情報ってどう見極める?
SNSや匿名掲示板の情報には、噂話や極端な体験談も多く、誤った情報もあります。
SNSには実体験が多く、つい参考にしたくなりますが、受験事情は「校風」「地域」「年度」によって異なり、他人の成功がそのまま自分に通じるとは限りません。
正しい情報は、学校の公式サイトや説明会、信頼できる塾や家庭教師の先生などから得るようにしましょう。
情報の正確性を見極めるには、「誰が書いているのか(所属・肩書き)」「数字や出典の有無」「極端な表現や断定口調がないか」などを基準にするとよいでしょう。
小学校受験対策では「家庭学習」と「家庭教師や塾」の役割分担が重要
今回は、小学校受験の対策について解説しました。
受験対策では、「家庭学習」と「家庭教師や塾」の役割分担が重要です。
ご家庭では、お子さまが規則正しい生活習慣を身につけることや、学習に前向きに取り組む姿勢を育てることを意識しましょう。
また、家庭教師や塾では、指導ノウハウを活かして、小学校受験をサポートします。
小学校受験では、通塾が難しいご家庭や、子どもの性格に合わせた個別指導を希望する方にとって、「家庭教師」の存在が重要になることもあります。
特に、家庭教師ではお子さまの性格や得意・不得意に合わせて、ご自宅で指導できるので、「家庭学習と塾の良いとこ取り」ができます。
そこで、私たち家庭教師のクラルス(CLARUS)では、送迎付きの家庭教師サービスを展開しています。
各分野の専任制でプロがご自宅に伺い、お子さまの性格や志望校に合わせた丁寧な指導を行うことで、「家庭学習と塾の良いとこ取り」が可能です。
各分野の専任制でプロが指導するため、効率的に学習を進められます。
お子さまの性格やご家庭の方針に合った受験対策を一緒に考えたい方は、まずはお気軽にお問い合わせください。
ご家庭に最適な学びの形を一緒に見つけてまいります。